妊活のこと
妊活時や妊娠時…どれだけ葉酸を摂取すべきなの?【栄養士監修】|ゲンナイ製薬プレミン
目次
この記事を監修いただいた先生
栄養士
若宮寿子(わかみや ひさこ)
葉酸ってどれだけ摂取すればよいの?
葉酸が妊娠中や授乳期に必要な栄養だということは、多くの妊婦さんやママがご存知のことですが、実は摂るべき量は、妊娠期間の時期によって違うことをご存知ない方が多いようです。
また、葉酸は妊娠初期に必要なもので、中期以降は必要ないと思っている人もいらっしゃいます。
なかには、産婦人科医から「中期になったらサプリメントは飲まなくていいよ」と言われたというケースも。
葉酸は赤ちゃんの先天性の障害のリスクを減らすだけでなく、妊娠中期以降にも妊婦さんの健康を守るため、そして、赤ちゃんがいる子宮内の環境を整えるために大切な働きをしています。
そのため、妊娠する前の普段の摂取推奨量に対して妊婦推奨量(付加量)と授乳婦推奨量(付加量)が定められています。
つまり、妊娠期間全期、そして産後の授乳期も、普段よりは意識して摂りたい栄養なのです。
葉酸の必要量は食事から摂取できているの?
前提として、妊娠しているしていないに関わらず設定されている、年齢別の摂取推奨量というものがあります。
健康維持のために、これくらいの栄養を摂りましょうという量です。
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取量基準」によると、30〜49歳女性の場合の葉酸の摂取推奨量は240μgです。Μg(マイクログラム)という単位にも馴染みがないため、それがどれくらいの量なのか検討がつきにくいですが、ほうれん草でいうと「1/2束」で少し足りないくらいの量です。
それくらいなら食べられそうという印象ですね。
実際、同じく厚生労働省が調べている「国民健康・栄養調査」(平成29年)によると、30代女性の葉酸の平均摂取量は226㎍とのこと。葉酸は身近な食品に多く含まれているので、よほど偏った食生活をしていなければ、あまり心配することなく摂取できているといえます。(1)
(1)参考資料:厚生労働省発表平成29年国民健康・栄養調査
自分の時期にあった葉酸を摂取しよう
ただし、妊婦さんと授乳中のママの場合には、この摂取推奨量に付加量というものが加わります。
おなかの赤ちゃんの健やかな成長のため、そして産後は母乳のために普段摂取している量だけでは足りないということです。「日本人の食事摂取基準」によると、妊活中から妊娠初期(妊娠1か月前〜妊娠14週まで)と、その後出産までの妊娠中、そして出産後の授乳期では、葉酸の摂取推奨量の付加量が違います。
ご自身の時期にあった葉酸を摂取することを心がけましょう。
【妊娠を望む1ヶ月前〜妊娠3ヶ月】はモノグルタミン酸型葉酸を400μg付加
現在妊活中、または妊娠初期の方は、毎日の食事で摂るべき摂取推奨量240μgに加えて、「モノグルタミン酸型」葉酸400μgを摂取するように推奨されています。
「モノグルタミン酸型」とは、食べ物から摂れる食事性葉酸よりも摂取効率の高い、サプリメントで摂れる合成型葉酸です。胎児の先天性の障害リスクを下げるためには、食事性葉酸でなくサプリメントで摂取すべきことは、母子手帳にも記載されています。
胎児の神経管は妊娠6週に閉鎖するので、神経管閉鎖障害のリスク低減のためにモノグルタミン酸型の葉酸の摂取を推奨されているのは、妊娠初期まで。
その後は「食事性葉酸」を240μg付加しましょう。葉酸は胎児の奇形を予防するだけでなく、遺伝子の働きを調整するのに大切な栄養。
妊娠中期以降も、胎児はどんどん成長し細胞の増殖が盛んになるので、引き続き葉酸が必要なのです。
最近では、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や統合失調症などの精神神経疾患に関係する遺伝子の働きを調整するメカニズムの多くが、ママのおなかの中にいる胎児期と、生後1年くらいまでの間に決まると考えられているそうです。
胎児や新生児期の栄養環境などが悪かったときに、遺伝子の働きを調整する「エピジェネティクス」というメカニズムが変化し、その子が成人になったときに生活習慣病などの病気になるリスクが高くなるそうです。
昔から「妊婦さんは赤ちゃんの分までしっかり食べなさい」と言われてきましたが、それはあながち間違いではないということ。
妊婦さんが栄養をしっかりとって、子宮内の環境を整えることが、赤ちゃんの将来の健康につながるのですね。
実際、妊娠の全期を通して葉酸サプリメントを摂取していると、子どもの脳神経機能の発達を促し1)~4)、認識能力の向上させたり2)~4)、自閉症のリスクを低下させる5)6)可能性についての報告もされています。
1)Caffrey A;Maternal folate nutrition and offspring health: evidence and current controversies.Proc Nutr Soc. 2018 Dec 26:1-13
2)Yan J;Effects of maternal folic acid supplementation during pregnancy on infant neurodevelopment at 1 month of age: a birth cohort study in China.Eur J Nutr. 2019 May 16
3)Naninck EFG; The Importance of Maternal Folate Status for Brain Development and Function of Offspring.Adv Nutr. 2019 May 1;10(3):502-519
4)Caffrey A; Maternal folate nutrition and offspring health: evidence and current controversies.Proc Nutr Soc. 2018 Dec 26:1-13
5)Wang M;The association between maternal use of folic acid supplements during pregnancy and risk of autism spectrum disorders in children: a meta-analysis.Mol Autism. 2017 Oct 2;8-51.
6)Stephen Z. Levineら; Association of Maternal Use of Folic Acid and Multivitamin Supplements in the Periods Before and During Pregnancy With the Risk of Autism Spectrum Disorder in OffspringAMA Psychiatry. 2018;75(2):176-184.
葉酸は造血にも関係する栄養です。
母乳はママの血液から作られるので、母乳の分泌をあげたり質のよい母乳を作るためにも、葉酸はよい働きをすると考えられます。
先の「エピジェネティクス」の考えは、産後の授乳期にも当てはまるもの。赤ちゃんによい栄養を与えて、赤ちゃんの健康を守るためにも、引き続き、葉酸の摂取推奨量に付加量100μgが設定されているのもうなずけます。
食事性葉酸もサプリメントで摂取できる
食事性葉酸は食べ物から摂取できるものですが、妊娠中のおなかが大きい時期や、産後の赤ちゃんのお世話に追われるころは、ゆっくり台所に立つのも難しいもの。
もちろんバランスのよい食生活を送れることが理想ですが、それが難しいときに、補助的にサプリメントに頼るというのはおすすめです。
妊娠中後期や授乳期には、「食事性葉酸」が含有されているサプリメントを選ぶといいでしょう。
「食事だけで栄養が足りているかな?」と不安に思うことも、ストレスになり体によくありません。
「私はサプリメントを飲んでいるから大丈夫」と思えることも、妊婦さんや産婦さんの不安を減らすことに役立ちます。
ふたり目の妊活を考え始めたら「モノグルタミン酸型」葉酸400μgを
おひとり目の赤ちゃんの授乳期を終えて、おふたり目の妊娠を計画しはじめたら、今度はモノグルタミン酸型の葉酸400μgを摂取するようにしましょう。
赤ちゃんの大切な神経管が形成される時期に、葉酸をしっかり摂取できているということが、ママの安心感につながります。
ひとりめ妊娠の時には知らなかったけど、妊娠・出産を経て葉酸の働きのことを学び、ふたりめ妊娠に備えて葉酸サプリメントを飲むママは増えています。
適切な栄養摂取を望まれる方は是非ご検討ください。
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