妊活のこと
【葉酸とは】役割とその重要性、葉酸に関する基礎や歴史、最新の知識まで
目次
妊活中や妊娠中、授乳期に大切とされている葉酸。
妊活中に必要な理由などは多くのサイトで紹介をされていますが実際はどんな栄養素なのか理解されていない方がほとんどです。
葉酸は、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンで、ビタミンB9としても知られています。特に細胞の分裂や成長に関わるため、身体にとって不可欠な栄養素です。
今回はさらに深掘りしてご紹介していきます。
この記事を監修した
ゲンナイ製薬株式会社 部長
倉田晋作(くらた しんさく)
2009年ゲンナイ製薬株式会社に入社。オペレーターとして多くのお客さまのお声をいただき知見を深める。2012年に現在販売中の「時期別葉酸サプリプレミン」の前身にあたるプレミンパパ・プレミンママの開発に携わる。2015年サプリメント部門の品質保証責任者に就任。以降、プレミンシリーズの処方、開発に携わる。サプリメントに関するセミナーにも登壇。
葉酸とは何か?その基本的な定義と歴史
葉酸の発見は諸説ありますが、科学的な偶然というよりも、現実の医療問題に対応するための研究から生まれました。
1920年代後半、ルーシー・ウィルズ(Lucy Wills)博士はインドの貧しい妊婦さんたちが貧血に苦しんでいることに気付き、その原因と治療法を探る研究を始めました。
彼女が発見したのは、酵母エキスが効果的に貧血を改善することで更なる研究の結果酵母エキスの有効成分が葉酸であることが判明し、貧血治療において大きな進展となったのです。
1940年代には、葉酸がビタミンB9としての役割がより明確になり、胎児の発育にも重要な影響を与えることがわかりました。
葉酸はほうれん草などの葉野菜に多く含まれており、名前の由来もラテン語で「葉」を意味する「フォリウム(folium)」が由来となっています。
発見当初は貧血の治療に特化して注目されましたが、現在では妊活中・妊娠中の女性や発育中の胎児にとって不可欠な栄養素として広く知られるようになりました。
特に胎児の神経管閉鎖障害(NTDs)を予防する効果があるため、妊娠初期には特に必要不可欠とされており出生障害の予防に大きな役割を果たしています。
現代では葉酸は、心血管疾患や一部のがんの予防にも関与しているのではないかと近年研究が進んでいるようです。
これにより、葉酸は単なる妊娠中の栄養補給に留まらず、みなさまにも健康維持全般において重要な栄養素として認識されているのではないでしょうか。
世界各国をはじめ日本でも厚生省から妊活期から妊娠期などの飲用を推奨されるようになりましたが、人種や食生活の違いにより推奨量はそれぞれ異なりので注意が必要です。
葉酸の働き:健康維持に不可欠な栄養素
葉酸の主な働きとして、DNAの合成と修復、そして細胞分裂をサポートするための栄養素とされています。
これにより、特に成長過程にある胎児や新生児、さらには体の細胞が頻繁に更新される成人にとっても重要な役割を果たしています。
とくに胎児の正常な発育と、神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、妊娠中の女性にとっては葉酸の摂取が非常に重要視されていますね。
実際、葉酸不足は胎児に重大な先天性障害を引き起こすリスクを増大させることが科学的に証明されていることもあり先述しましたが、日本では厚生省が妊活期からの飲用を推奨しています。
また、葉酸は赤血球の生成にも関与しているため、鉄欠乏性貧血の予防にも役立ちます。
赤血球は酸素を全身に運ぶ重要な役割を持っており、葉酸の不足は貧血を引き起こし、疲労感や集中力の低下を招く可能性があります。
さらに、葉酸はホモシステインというアミノ酸のレベルを低下させ、動脈硬化や心疾患の予防にも役立つのではと研究を行っている機関もあるようです。
ホモシステインの高いレベルは、心血管疾患のリスク要因とされており、葉酸はこのリスクを軽減する一助となり得る可能性があります。
特に現代においては、葉酸の摂取は健康寿命の延伸や認知機能の向上、脳の健康維持になど幅広くその働きが注目されています。
葉酸の種類と体への取り込み方
葉酸には大きく分けて2つの種類があります。
自然に食品に含まれるものと、サプリメントなどに含まれるものです。
自然食品に含まれるものは「ポリグルタミン酸型葉酸」と呼ばれ、特に葉野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)に豊富です。
このタイプの葉酸は「天然葉酸」とも呼ばれ摂取後に体内で活性型に変換されて吸収されるのですが、吸収効率がやや低いとされています。
これに対し、サプリメントや強化食品に含まれる葉酸は「モノグルタミン酸型葉酸」と呼ばれ、より吸収効率が高い形態です。
「合成葉酸」と呼ばれることもり妊娠中の女性や葉酸の必要性が増している方に対してはサプリメントなどから効率的に摂取することが推奨されています。
葉酸は身体に取り込まれると小腸で吸収され、肝臓で活性型である「5-メチルテトラヒドロ葉酸」に変換されます。
この形で血液中を巡り、各臓器や組織で活用されます。
特に妊娠中の女性や授乳中の母親は、神経管閉鎖障害のリスク低減のためだけでなく、胎児や乳児の成長に必要な分の葉酸も供給する必要があるため、通常よりも多くの葉酸を必要とします。
妊活〜産後まで大切な栄養素が葉酸
妊娠中や妊活中などは葉酸サプリなどから摂取されることを推奨されています。
日本人女性の場合は「普段のお食事+400μg(マイクログラム)」をサプリメントなどから摂取することを推奨すると、厚生省よりされています。
葉酸サプリは、これらの情報を元に考察すると妊娠を計画している女性に寄与する大切な役割があるということがわかります。
また、体内で葉酸を効率的に利用できる形態のサプリメントを選ぶことが重要です。
サプリメントを選ぶ際には、「モノグルタミン酸型葉酸」が含まれているものが吸収効率が高く、より体に取り込みやすいとされています。
また、他のビタミンB群やミネラルと一緒に配合されているサプリメントを選ぶと、葉酸の効果をさらに高めることができます。
特にビタミンB12や鉄分が含まれた製品は、相乗効果を発揮し、貧血予防やエネルギー代謝のサポートに効果的とされているので妊活中や妊娠中、産後の女性においても葉酸だけでなく他のビタミン群やミネラルもしっかりと不足分を補給することが大切です。
日本国内では厚生省より葉酸以外のビタミンやミネラル群の摂取も推奨されています。
葉酸400μgをはじめ、それぞれ必要量がしっかりと明記されているので適切なものを選ぶことが大切です。
厚生労働省 e-ヘルスネット: 葉酸
日本医師会: 葉酸とその重要性
厚生労働省:日本人の食事摂取基準2025
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