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この記事を監修いただいた先生
栄養士
若宮寿子(わかみや ひさこ)
葉酸サプリをいつから飲むのか?
それは赤ちゃんが欲しいと思った時から。
妊活に関する情報が増えてきた現在、赤ちゃんがほしいと思ったら、健康はもちろん、食べ物の産地や栄養に気をつけることは常識になりつつあります。
妊娠しやすい体になることはもちろん、その後の赤ちゃんの健やかな成長・発達のためにも、まずは母体が健康であることが大前提。
自分だけの体の時には何を食べても飲んでもよかったけれど、赤ちゃんのためだと思うとそうはいきませんね。
そんな中、妊活中から摂取すべきものとして「葉酸サプリメント」が注目されています。
ちなみに、この「葉酸サプリメント」は、妊娠を促すためのものではありませんのでご注意ください。
早く妊娠できるようにと、パートナーである男性も一緒に飲んだ方がいいと促す情報もあるようですが、それは間違いですのでお気をつけください。
妊活中の男性に必要な栄養、不足しがちな栄養は女性とはまた別にありますので、同じサプリメントを飲むことを推奨している情報には気をつけたいものです。
妊娠がわかってから葉酸サプリを飲むのでは遅い場合も
妊活中の女性に「葉酸」の摂取が促されるのは、受精後の赤ちゃんが体を形成していく、妊娠に気づくか気づかないかくらいの妊娠4〜6週くらいに「葉酸」が大切な働きをするから。
中には妊娠に気づくのが遅れ、葉酸サプリを飲み始めようとする頃には「葉酸」が大切な働きをする時期を過ぎてしまっている場合があるので、「妊娠を望む1カ月前」から摂取すべきだと推奨されているのです。
「葉酸」は妊娠初期の赤ちゃんの障害リスク低減に役立つ
さて、妊婦さんにとって「葉酸サプリメント」が重要なことは、ほとんどの人がご存知なくらい周知されていますが、いったいいつからいつまで飲めばいいのか?については、かなり情報が散乱しています。
「葉酸」がもっとも重要な働きをするのは、前述した赤ちゃんの神経管が閉じて完成する時期(妊娠4〜6週)。
そのため、「妊娠すればやめていいらしい」「妊娠初期までで、それ以降は飲まなくていい」という情報が多いようです。ドクターの中にも「妊娠中期に入ったら葉酸サプリは飲まなくていいよ」とおっしゃる先生もいて、妊婦さんが混乱してしまうケースもあります。
上記の時期を考えると葉酸は妊娠後も摂取すべき栄養なのです。
葉酸サプリをいつからいつまで飲むかは妊娠を望む1カ月前から授乳期まで飲むのが正解
私たちが摂取すべき栄養の基準が明記されている「日本人の食事摂取基準」によると、妊活中だけでなく妊娠後の妊婦さんも初期だけでなく、中期、後期、そして授乳期まで、「葉酸」を付加的に摂取すべきだと明記されており、その付加量が設定されています。
つまり、葉酸サプリメントを摂取すべき期間は、妊娠を望む1カ月前から、赤ちゃんにおっぱいをあげている期間までということになります。
妊活〜妊娠3カ月はモノグルタミン酸型葉酸400μgを摂取
ではなぜ、このような誤解が生まれているのでしょうか。
それは、葉酸に2つのタイプがあること、そして摂取すべき量が、妊娠の時期によって異なることが、あまり知られていないからです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、妊活から出産までの期間を3つのステージにわけています。
- 妊活〜妊娠14週まで(妊娠初期)
- 妊娠14週〜出産(妊娠中期)
- 出産後授乳期(産後、授乳期)
妊活〜妊娠13週 | 葉酸400μg | モノグルタミン酸葉酸 |
妊娠14w~出産 | 葉酸240μg | 食事性葉酸 |
産後の授乳期 | 葉酸90μg | 食事性葉酸 |
胎児の神経管閉鎖障害リスク低減のために葉酸摂取が推奨されるのは、「妊活〜妊娠14週まで」の時期です。
特にこの時期、食事から摂れる葉酸では、とてもその必要量には足りないため、体内への吸収率が高いプテロイルモノグルタミン酸葉酸をサプリメント(通称:モノグルタミン葉酸)で1日400μg摂取するように明記されています。
普段は「栄養は食事からとってね」と指導することが多いドクターや助産師さん、栄養士さんなども、サプリメント摂取を推奨するのは、そういう理由があるからです。(1)
(1)参考資料:日本人の食事摂取基準2020
日本人の食事摂取基準とは
約5年おきに公表される日本人のライフステージの策定から栄養素別の必要量と考え方、推奨摂取量などをまとめた指針。
いつからが妊活期で妊娠中期、いつまでが産後授乳期などの概念や必要摂取量などが掲載されます。
【栄養士監修】
「妊娠後」妊娠14週〜出産までは食事性葉酸を240μg付加
安定期に入る妊娠14週以降も400μgを摂取すべきなのでしょうか。
厚生労省発表の際「日本人の食事摂取基準」最新版によると、中期(14週から)以降はモノグルタミン酸型葉酸ではなく、食事性葉酸240μgを付加的に摂取するようにと書かれています。
葉酸は胎児のリスク軽減だけでなく、新しい赤血球をつくるのにも必須で「造血ビタミン」と呼ばれています。
葉酸が不足すると正常な赤血球ができず、貧血の原因になります。
最近では、「低出生体重児は将来的に成人病リスクが高くなる」「発達障害などのリスクが高くなる」などの報告があります。
妊娠中の子宮内での健康状態が、赤ちゃんの将来の健康に影響を与えることが少しずつわかってきているのです。
つまり、赤ちゃんが将来的に健康に生きていくためには、妊婦さんの栄養状態がとても大切であるというわけです。
昔から、妊婦さんはふたり分の栄養を摂りなさいと言われてきました。
赤ちゃんのためにしっかり栄養を摂ることが、元気な赤ちゃんを産む秘訣であることは今もかわりません。
ただし「ふたり分」というのは、人々が栄養不足で悩んでいた時代のたとえなので、栄養が豊富な現在にその言葉を鵜呑みにすると、妊婦さんが適正体重を保てなくなる心配があります。
でも、妊娠中に必要な栄養をしっかり摂ることが、おなかの赤ちゃんの将来に関わることは意識した方がいいでしょう。(1)
(1)参考資料:日本人の食事摂取基準2020
産後も葉酸不足、質の高い母乳を出すために授乳期も引き続き「葉酸」が必要
授乳期のママにも葉酸の付加量が設定されているのは、母乳の質をよくするためです。
赤ちゃんに飲ませる母乳は、ママが食べるものから作られると言っても過言ではありません。
そのため、授乳期にも「葉酸」を普段より多めに摂るように厚生労働省から推奨されているのです。
しかし、産後は慣れない育児と家事に追われて、食事が疎かになりがちです。
赤ちゃんのお世話もしながら、自分の食事のことまで気を回すのは大変なので、引き続きサプリメントで足りない栄養を補うといいでしょう。(1)
(1)参考資料:日本人の食事摂取基準2020
2018年から主流になっている「時期別葉酸サプリ」は、96.4%のお医者さまに「時期別は共感できる」との高い評価をいただいています。
古い一般的な葉酸サプリでは中期以降も同じ栄養素を摂取し続けることになります。
適切な栄養摂取を望まれる方は是非ご検討ください。
まとめ:葉酸サプリはいつからいつまで必要か
妊娠を計画している1ヶ月前の妊活中から妊娠中、産後の授乳期まで必要な量や葉酸の種類は異なるがとても重要な役割を果たす栄養素であるため一貫して普段の食事に追加して摂取する方が望ましい。
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